CBT、OSCEを無事に終えポリクリを間近に控えた4年生の春休みに、上戸町病院の見学をさせて頂きました。実は病院見学をするのは初めてで、非常に緊張していました。先生の質問に答えられなかったらどう思われるだろう、などと変な心配をしたりしていましたが、病院の方は皆さん優しい方ばかりで、初めての見学をつつがなく終えることができました。そんな今回の見学を、臨床実習を行う前の学生の目線でまとめてみたいと思います。
上戸町病院は長崎市の南部に位置します。坂の上に病院があるので、徒歩できた患者さんは大変なのではと思ったのですが、なんと坂の下にエレベータが設置されています。坂の多い町、長崎ならではの工夫です。
患者さんは市内中心部を始め、長崎市南部の野母崎や香焼町からいらっしゃるそうです。
病床数は104床で、透析室やリハビリ室、放射線治療室などの整備が整う、まさしく地域の中核病院です。
午前は院内を見せて頂きました。
病棟を始め、透析室やリハビリ室、放射線を使った治療の風景を見せて頂きました。
まず病棟見学をさせて頂いたのですが、多彩な疾患の患者さんが同じ病室の隣のベッドにいるという風景に驚かされました。例えばあるベッドの患者さんは肺癌を患っていて、その隣のベッドの患者さんは椎骨圧迫骨折で入院している。そしてその隣の病室には認知症が進行した患者さんがいる・・・という具合です。普段訪れる病院では疾患の部位や性質ごとに別の病棟に入りますが、ここではそういうことはしないのですか、と先生に尋ねた所、「患者さんは1つの病気だけに絞って治療を受けに来るわけではない」というお答えでした。一人の患者さんがいくつもの病気を抱えてやってくるので、それを無理に分けることはしないのだそうです。自分の先入観を大きく一つ変えられました。
次に印象に残っているのは、リハビリ室です。とにかく混んでいる!というのが第一印象でした。他の病院のリハビリ室を見たことがあまりないので比べてみた時にどうかは分かりませんが・・・。色々なリハビリ室をする患者さんとそれを補助するセラピストの方でごった返している風景にまた驚かされました。上戸町病院はリハビリに力を入れているそうで、寝たきりになって入院した患者さんもできるだけ早期離床してリハビリすることを目指しているそうです。そのためリハビリ室が混みあうので、できれば部屋を増やすか広くしてほしい、と先生や作業療法士の方はおっしゃっていました。
午後からは往診を見せて頂きました。往診は上戸町病院自体が行なっているわけではなく、同じ民医連に所属している香焼診療所が担当していました。そちらの先生と一緒に、野母崎や香焼の患者さんのところへ向かいました。
往診では患者さん一人ひとりの背景を理解した上で治療に当たることの大切さ、大変さを学ぶことができたと思います。診療所には患者さんのこれまでの病歴を記したカルテがあったのですが、その量の膨大なこと…厚さ5センチはありそうなファイルにぎっしりと紙が挟まっていました。患者さんの背景を知るのは本当に大変だと思いました。
まず自宅で療養されている患者さんの家に行きました。一番驚いたのが、胃ろうを造設している患者さんの家におじゃました時です。その患者さんはもともとグルメで、胃ろうを造設した今も食べることが大好き、という方でした。嚥下能力がかなり落ちているので、当然誤嚥性肺炎を起こしやすい食べ物は食べてはいけないのですが…患者さんの生き方を否定せずに治療にあたることが大切なのだと思いました。
また、認知症の方が入居されるホームにもお邪魔してきました。こちらの施設の見学を通じて改めて認識したのが、他職種連携の大切さです。往診に行く医者・看護師だけでなく、ホームで働く方、栄養士の方、介護士の方、そして薬剤師の方。様々な職種が連携することで往診や地域医療が成立しているのだと、肌で知ることができました。
という風に、僕の初めての病院見学は終わりました。
初めてのことだったので、見るべきものをしっかり見ることができたかどうかは自信がありませんが、先生方や事務の方にお世話になって上戸町病院の良さ、長崎地域医療について知ることができました。この場を借りてお礼を申し上げます。本当にありがとうございました。
「地域医療の中核病院」というテーマについて知りたい方は、是非上戸町病院を見学しに行くべきだと思います。また、病院見学に行ってみたいがどこに行けばいいか分からず不安、という方にも上戸町病院をおすすめします!優しい先生方ばかりなので、リラックスして最初の病院見学ができると思いますよ。