友人から長崎県上五島病院の評判を聞き興味を持ったので、春休みを利用してお邪魔させていただきました。もともと、完結型の医療に興味があったため、見学期間は短かったのですがとても刺激的な時間を過ごすことができました。
1日目は、移動に時間がかかったため、午後からの見学となりました。到着後はまず、病院事務の方から病院の概要、施設の案内をしていただきました。MRI、CTはもちろん、アンギオなどもそろっており、200床クラスの病院の中ではとても設備が整っているという印象を受けました。また、遠隔診断システムやドクターヘリについても説明していただき、離島とはいえ、本土と遜色のない医療が受けられるだろうと感じました。
2日目の午前中は訪問看護に同行させていただきました。手段がないため病院に来られない患者さんや、寝たきりだけれども自宅療養されている患者さんを訪問します。この医療スタイルも離島ならではだと思いました。同行させていただいた看護師さんは、「週1回の訪問でもリハビリになり、少しずつ体も動いてくる」とおっしゃっていました。訪問診療をされる看護師さんは大変だと思いますが、入院患者を減らすという意味では医療経済的にも貢献しているのではないかと思いました。午後は手術見学をさせていただきました。外科の先生が麻酔科も兼ねておられましたが、腹腔鏡下胆嚢摘出手術は滞りなく進んでいました。離島も大阪の病院も変わりはなく、1人のドクターが複数のスキルを持つことで足りない部分はカバーできていると感じました。
3日目の午前中は内科の外来を見学しましたが外来では幅広い診療科をカバーしなければならない難しさを感じました。もちろん、複雑な症例は別の先生や医療センターの先生にコンサルトできるようですが、自分の責任で診療しなければならないというのが難しいと思います。特殊な疾患をもし見逃してしまうと、そのままずっと放置される可能性があるということを常に念頭に置いておかなければいけません。
午後の手術見学の後、夜には愛知県から来られた先生の講演がありました。講演の前に島での感染症についてプレゼンテーションがありましたが、ある程度隔離された空間だからこそ追える疫学もあると思いました。公衆衛生学の研究をしたいと思っている人にとってもこの規模の島は魅力があると思います。また、講演後は若い先生方がとても積極的に質問されているのが印象に残りました。普段から自分の責任で診療されているので、情報を少しでも得ようと貪欲なのだろうと思いました。
最後になりましたが、お忙しい中、私たちの相手をしてくださった八坂先生を始めドクターの方々、スタッフの方々、事務の方々ありがとうございました。この場をお借りして御礼申し上げます。