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長崎県上五島病院 実習レポート
K大学6年 N.T.
実習期間:2013年6月17日~7月5日

 上五島病院での3週間の実習はあっという間に終わり金沢に帰ってきました。振り返ると、本当にたくさんのことを経験できたと思います。上五島病院での実習のいいところは、希望したらほとんどのことが実際に経験できるということです。例えば、大学の実習でほとんどしたことのない採血を実際の患者さんに行うことができました。末梢静脈路の確保も体験しました。術後創部のガーゼ交換も手伝いました。なかでも、特に採血と末梢静脈路確保は、簡単な手技でも実際の患者さんを相手に行うことで医療従事者としての一歩を踏み出す自覚と責任を感じました。また、何回も先生方を相手に練習して自分でも頭の中でイメージトレーニングしても、実際に予期せぬことが起こるとあわててしまい先生や看護師の方に助けていただきました。頭でわかっていても実践はやはり難しく、その違いを学生のうちに体験できたことは来年医師になるときにひとつの財産になると思います。

 しかし実習でよかったのはそれだけではありません。私は上五島病院で外科をまわりましたが、大学とは異なり外科でありながら、ペースメーカーの埋め込み、ERCP、PTGBDなどの内科的手技を行っていたので、学生としては外科を実習しながら内科の勉強もできました。当然外科手術にも入りました。脂肪腫や粉瘤の摘出などの外来手術から、腹壁瘢痕ヘルニア根治術、腹腔鏡下胆嚢摘出術、そして低位前方切除術などの消化器外科手術、さらに呼吸器外科手術の胸腔鏡下ブラ切除術も行われており、比較的容易なものから複雑なものまでさまざまな手術に入ることができました。上五島病院では外科医が麻酔を行うので、麻酔科医として婦人科手術や整形外科手術の全身麻酔を行い、さらには健診で内視鏡検査まであって、外科医に求められるものは多いです。先生方は大変かもしれませんが、学生実習としては幅広く学ぶ機会を与えていただけました。もちろん救急の見学も可能です。上五島では救急車を受け入れられるのが上五島病院だけなので、救急搬送の対応も見学だけでなく簡単な手技なら実際に経験できます。

 病院実習に加え、上五島病院が担う地域医療の見学として、先生の診療所での外来や訪問診療に同行しました。上五島病院で日々行われているのは、すでに述べたように、規模の大きい病院と変わらない医療であり離島の病院のイメージをかけ離れていると思うかもしれません。しかし、訪問診療などで地域医療の現場を見ることができました。上五島の地域住民の健康を守るため、上五島病院は病院に来た患者さんだけでなく、なかなか病院まで来ることができないような人たちのために、診療所に医師を派遣するほか、訪問診療を行い、さらには上五島病院ではがんなどの検診も行っていて、積極的に地域住民の健康を守る活動を行っています。

 そうした活動の中でも私がもっとも興味深かったのは、上五島病院の先生が上五島のさまざまな集落を役場の人たちとまわり、地域の人たちに上五島の疾病構造や健康を守るための生活習慣改善の重要性、そして検診受診とがんの関係性を講演する健康啓発活動を行っていることです。

 私は実習中に赤尾と蛤地区の2つの集落への講演会に参加しました。講演をするのは上五島病院院長の八坂貴宏先生と新上五島町役場の方たちです。八坂先生が新上五島町のがんの罹患率とがんにならないための生活習慣、そしてがんの予後と検診受診率の関係について話し、役場の方も検診を受けてその後体にどのような変化が見られるのかを具体的にわかりやすく話されました。地域の人たちも熱心に話を聞いていて、積極的に質問するなど、講演会はとても盛り上がっていました。このような取り組みに初めて参加しましたが、地域の人と近いところで話すという機会は病院やそこで働く医師と患者の距離を縮める役割を担い、個人の積極的な疾患予防と健康増進のきっかけになると感じました。この「近さ」が地域医療の本質のような気がします。病院と住民が手を取り合える関係があって地域の人たちの健康を守ることができるし、住民も予防のために自発的に行動を起こすことができます。地域の人たちと病院との関係のひとつのモデルと言えるでしょう。

 この講演会が私にとって興味深いと感じたもうひとつの理由があります。1回目の講演会の最後で、腎不全とは何か、GFRとは何か、よくわからないと質問されました。先生と役場の方が答えていましたが、私たちがいつものように使っている言葉が一般の人たちには理解されていないことに気づきました。そこで、先生からの提案で次の講演会で腎不全について話す機会をいただきました。

 発表における目標は、腎不全がどのようなものかを理解してもらうことです。腎臓の機能はさまざまであり複雑です。それを簡単にまとめるのは苦労しました。また、医学用語をできるだけ使わず発表することを、いままでしたことがなかったので言葉の選択に気を使いました。

 発表後、先生と一緒に参加した学生からわかりやすかったとの言葉をいただきました。実際私としてもイメージトレーニングをしていたとおりにできたと感じました。しかし大学での発表とは異なり、聞き手と共通の背景を持たない状況での発表では、誰かに何かをわかりやすく伝えるという、よりプレゼンテーションスキルが求められます。それを、身をもって体験できました。さらに、そうした相手には自分が説明する内容を十分に理解している必要があり、自分としても腎臓の機能の勉強ができました。このような点で私はいい機会を与えられたと感じます。

上五島病院での3週間の実習は、大学でできなかった手技を経験できたことや科を問わずさまざまな疾患に触れられたこと、そして何より、地域住民の健康を守るため実際に現場で何が行われているのか知ることができた、という点で本当に充実していました。上五島病院の先生方はみな地域の健康を守るために、熱い気概を持って、日々奮闘しておられます。私はそのような姿を見て刺激になったし、忙しい中縁もゆかりもない北陸から来た学生の相手をしていただけたことに非常に感謝しております。八坂先生はじめ外科の先生方、そして上五島病院のスタッフ皆さんに感謝を申し上げたいです。ありがとうございました。







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